# 経済情勢の概観 ## 概要 本章では、J-REITを取り巻く経済環境について、金融政策、インフレ動向、為替市場、経済回復状況など、多角的な視点から分析を行います。これらの要因がJ-REITの投資環境にどのような影響を与えているかを考察します。 ## 金融政策と金利環境 日本銀行は長期間の金融緩和政策を継続していますが、2023年にイールドカーブコントロール(YCC)政策の修正を行い、金利の上限を弾力的に運用する方針に転換しました。しかし、欧米と比較すると、日本の金利上昇ペースは緩やかであり、相対的な低金利環境が続いています。この環境は、資金調達コストの観点からJ-REITにとって依然として有利に働いています。 ## インフレ動向 エネルギー価格や原材料価格の上昇を背景に、日本でもインフレ圧力が高まっています。2023年以降、消費者物価指数は前年比で2%を超える上昇を続けており、日本経済は長期のデフレ状況から脱却しつつあります。このインフレ環境は、実物資産である不動産への投資妙味を高める要因となっています。 ## 円安傾向 日米金利差などを背景に円安が進行しています。これは輸入コストの上昇につながる一方で、海外投資家にとって日本の不動産が割安に見える効果もあります。 ## 経済回復状況 コロナ禍からの経済活動の正常化が進んでおり、特に観光業では訪日外国人観光客の増加が顕著です。この回復傾向は、ホテルや商業施設など特定セクターのJ-REITにとって追い風となっています。